HIVの治療とエイズ

HIV陽性だった場合の治療方法とエイズの発症・症状について

HIVの治療と完治した例 エイズ(AIDS)の発症と症状について

HIV検査で陽性となった場合、治療として抗HIV薬の投与による抗HIV療法が行われます。
ただし、抗HIV薬は副作用も強いため現在ではHIV陽性反応が出てもすぐには投与せず、まずは免疫細胞の状態をチェックします。

 

HIV検査についてはこちら

 

HIVがエイズ(AIDS)を引き起こすメカニズム

 

HIVはレトロウイルスという種類のウイルスで、CD4陽性T細胞(CD4陽性リンパ球)という免疫細胞に侵入し内部で自身を複製しつつ増殖します。

 

HIVに感染したCD4陽性T細胞はHIV増殖により死滅し、増殖したHIVは他のCD4陽性T細胞に侵入し、増殖とT細胞の破壊を繰り返します。

 

HIVは増殖スピードが速いことに加え、複製の際にコピーミスが生じることがあり、これにより変異株が現れます。このため、ヒトの免疫細胞は新たな敵に対応しきれずHIVを排除できません。

 

この変異株の存在は薬に対する耐性にもなり、HIVを完治させる薬が作れない要因となっています。

CD4陽性T細胞とは?

T細胞は白血球の中のリンパ球の一種で、CD4陽性T細胞はこのうちのヘルパーT細胞と呼ばれるものです。
CD4とはタンパク質の名前でこれを持っているヘルパーT細胞をCD4陽性T細胞といいます。

 

ヘルパーT細胞は他の免疫細胞に司令を出す役割があり、免疫系の中心的な役割を担う司令官ともいえます。
HIVはこの司令官をやっつけてしまうため、ヒトの免疫機能が落ちてしまうというわけです。

 

なおHIVはCD4と呼ばれるタンパク質から侵入するのでCD4を持たないT細胞や他の免疫細胞が攻撃されることはありません。

 

T細胞は骨髄で作られた後、胸腺(きょうせん)で成熟するという過程を経てからリンパ組織に移動します。

 

正常な人でCD4陽性T細胞の数は700〜1300/μL、多くの人は800〜1000/μLと言われています。
この値が200/μL以下まで下がるとエイズ発症の徴候が現れる可能性が高くなります。

エイズ(AIDS)発症までの過程

HIVに感染し陽性となってもエイズを発症するまでに数年〜十数年かかります。
この間は無症候キャリア期(AC期)といい、HIVはCD4陽性T細胞を破壊し増殖しますが、CD4陽性T細胞も新たに体内で作られHIVに対抗している状態です。

 

しかしやがてHIVの増殖に対してCD4陽性T細胞の産生が追いつかなくなり、免疫系に支障が生じます。

 

すると発熱、下痢、体重減少などの症状が現れます。この時期をAIDS関連症候群期(ARC期)といい、エイズ発症が目前に迫っていることを表します。ARC期の期間は数ヶ月程度です。

 

HIV検査をしておらず、自分が感染していることを知らない場合、この時点でも風邪を引いてしまったと思うだけでしょう。

エイズ

エイズ発症と症状

 

エイズは日本語で後天性免疫不全症候群といいます。
エイズとはT細胞の不足により免疫不全(免疫が機能しない)が起こり、外敵から体を守れなくなってしまう状態のことで、この時期をエイズ期(AIDS期)といいます。

 

私達の体内には様々なウイルス、細菌、寄生虫、真菌などが共生しています。
これらは普段、免疫細胞により一定の割合に抑えられていますが、免疫力が低下すると増殖しそれぞれ病気を起こす場合があります。これを日和見感染(ひよりみかんせん)といいます。

 

日和見感染は加齢やストレスなど免疫力が低下して起こる場合もありますが、エイズの状態ではこれらが非常に起こりやすくなります。

エイズの症状とは?

エイズとは免疫不全により様々な病気にかかりやすくなってしまう病気です。
従ってエイズの症状は、引き起こされる病気によって異なる、ということになります。

 

例えば肺炎を発症し激しい咳(せき)や痰(たん)が出る場合もあれば、食道でカンジダが増殖し、物を食べたときに喉の痛みを訴える場合もあります。
カンジダが目で増殖すれば視力低下や最悪失明することもあります。

 

下記に診断基準となる病気を記載しますが、これら以外にも様々な病気にかかりやすくなる為、症状は個々人で違うということになります。

エイズ診断基準となる病気

検査によりHIV感染症と診断され下記の病気が一つでも認められた場合エイズと診断されます。
診断基準となる病気は現在23個あります。

 

それまでHIV検査を受けておらず、これらの病気を発症して初めて自分がHIVに感染していたことを知る人も少なくありません。

日和見感染症
真菌症

カンジタ症、クリプトコッカス症、コクシジオイデス症、ヒトプラズマ症、ニューモスチス肺炎

原虫症

トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、イソスボラ症

細菌感染症

サルモネラ菌血症、化膿性細菌感染症、活動性結核、非定型抗酸菌症

ウイルス感染症

サイトメガロウイルス感染症、単純ヘルペスなどヘルペスウイルス感染症(帯状疱疹)、進行性多巣性白質脳症

腫瘍

カポジ肉腫、原発性脳リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、浸潤性子宮頸癌

その他

リンパ性間質性肺炎・肺リンパ過形成、反復性肺炎、HIV脳症、HIV消耗性症候群

 

HIV/エイズ(AIDS)の治療

 

HIVの治療はCD4陽性T細胞が血液中にどのくらい存在するかを検査し、その値がある程度低くなった時から治療を開始します。

 

薬の副作用が強い場合あまり早くから始めても体に負担がかかるので、薬の種類や状況に応じて判断します。
また治療を早い時期から行うことで薬剤に耐性を持ったウイルスが出現してしまうというリスクもあります。

 

かつてはCD4陽性T細胞数が200/μL以下とか350/μL以下から始めていましたが、2016年3月の抗HIV治療ガイドラインでは500/μL以下という早い段階から治療を始めることが推奨されています。

500/μL以下の場合に強い推奨(AI)、500/μLより多い場合は中等度の推奨(BI)とした。ただし、妊婦では500/μLを越えていても治療開始を強く推奨する(AI)。

多剤併用療法(HAART)

現在HIVの治療は抗HIV薬を3剤以上併用して投与するHAARTという方法が行われます。
HAARTは更に略してARTと呼ばれることもあります。

 

抗HIV薬を多剤併用することで、ある薬に耐性を持ったウイルスがいても他の薬が効くのでHIVの増殖を抑えることが可能です。

 

HAARTの普及によりエイズ発症を高い確率で防ぐことができるようになりました。

抗HIV薬の副作用

HAARTでは複数の抗HIV薬を服用するということもあり、副作用が大きな問題となります。
副作用は多岐にわたり、吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振、頭痛、不眠、うつ、発疹、湿疹、糖尿病、脂質異常症、肝機能障害、腎機能障害、血管疾患、骨密度低下など様々です。

エイズの治療

抗HIV薬による治療を行っておらず、エイズ発症が認められた場合は即抗HIV薬による治療開始となります。
当然、免疫不全により発症した病気の治療も同時に行われます。

 

 

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